地域猫の現状について

沖縄の地域には猫が多くいます。そして猫を取り巻く問題も多くあります。 猫は、完全室内飼いという啓発広報をいたるところで目にします。しかし、現在の沖縄では、猫の数から全ての飼い主のいない猫を室内飼いにすることは不可能です。

多頭飼育崩壊も増え、社会問題ともなりつつあります。 TNR活動もボランティアの方々を中心に沖縄各地でされています。しかし、TNR(不妊去勢手術)を終えた猫たちは増えませんが、地域の生活環境に支障をきたす(例えば糞尿被害など)問題は継続しています。そのため、困窮しておられる住民を抱えた自治会も多くあります。

また、TNR後も管理されていないとTNRが効果的と言われる90%レベル+遺棄など流入0を継続できなくなり、一時減った猫の数も増えていきます。餌をやらなければ問題が解決するかというと、データによりますと、他の地域への流入を助長するだけで地域問題の解決にはならない結果を示しています。

また、人にそれまで頼っていた住宅地の猫への餌やりを止めるという行為は、愛護管理法の虐待という行為に当てはまるかどうかという事は賛否両論ですが、完全に否定はできません。事実、全国的にも餌やり禁止看板、餌やり禁止等の行政による指導は、愛護管理法上問題視され、「禁止してはいないけれど、場所を変える」指導など中立の立場を取る自治体も増えています。

それでは、どうしたら良いのでしょうか?

愛護管理法の告示にありますように、その鍵は「地域猫活動に対する理解の促進」にあります。今、沖縄では、猫に関する問題を地域環境問題ととらえ解決していくため、地域猫という活動を急速に広げていく必要性があると思います。

私どもも、地域猫環境活動こそが鍵とし、沖縄の地で実施して成果などデータを収集するために、設立以来「先行型地域猫プロジェクト」や「猫SDGsプロジェクト」など、地域猫プロジェクトを展開してきましたが、実施した地域では大きな前進が見られました。それに加え、昨年は、猫に関する地域問題を解決するための専門知識を持った人材育成事業「猫環境コーディネーター資格講座」も実施してきました。また、糞尿問題などの解決に向けては、EM研究機構様にもご協力頂き、CLEAN GREENプロジェクトの中で 臭い対策など各地で調査・研究をさせて頂いています。

このたび、東京を本拠地として、25年以上にわたり日本各地の地域猫活動を支援され、地域猫の実施のための膨大な教育啓発資料を提供されているNPOねこだすけの代表理事である工藤久美子様のご厚意によるご支援を受け、腕章活動や地域猫啓発活動などを私たち法人でも共同で始めさせていただくことになりました。

この場を借りまして、NPOねこだすけ様、そして工藤様に心から御礼を申し上げます。 このウェブサイトでも工藤様の地域猫活動に関する講義内容から地域猫に関する情報を発表させて頂きます。

また、地域猫活動は各地で一人で始めるには、あまりにも大きなプロジェクトですし、質問や悩みも多いと思います。「おきなわ地域ねこの会」も発足させ、勉強会や相談会などを開催し、サポートシステムを構築していく予定です。

人にとっても猫にとってもやさしい地域づくりのために、皆様よろしくお願いいたします。

一般社団法人 SCB CatsWalk 代表理事  中村容子